-事例紹介-
成年後見制度について
- 弁護士 阿部卓実(2015.12.28作成)
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成年後見制度とは,認知症,知的障害,精神障害などによって判断能力が十分ではない方を保護するための制度です。
例えば,おじいさんが亡くなって,遺産分割をしなければならないのに,相続人であるおばあさんに全く判断能力がない場合,遺産分割ができません。このような場合に,おばあさんの代わりに判断をしてくれる成年後見人を裁判所に選任してもらうわけです。判断能力の程度によっては,成年後見人ではなく,保佐人,補助人の選任となる場合もあります。
スムーズに親族の誰かが成年後見人になれれば良いのですが,誰が成年後見人になるか親族間で争いになる場合があります。
例えば,おばあさんと長男が同居していて,他の親族が,「どうも長男がおばあさんの財産を使い込んでいそう……」等と疑っている場合には,長男を成年後見人にすることはできません。このような場合には,弁護士を成年後見人に選任することで解決できる場合があります。
さらには,使い込みの疑いにとどまらず,長男がおばあさんの財産を実際に使い込んでいるケースもあります。ひどい時には,長男が使い込みを隠すために全く申立てに協力しない等の事態が起こり,後見人選任申立て自体ができないことにもなってしまいます。
このような場合には,弁護士が成年後見人申立手続から関与することで,成年後見人の選任につなげられる場合があります。そして,弁護士が成年後見人に選任されれば,長男の使い込みを止めることもできます。
当事務所では,誰が成年後見人になるか親族間で争いがあるような事件でも,弁護士がおばあさんと面談したり,争いのある親族と交渉するなどして,成年後見人の選任にこぎ着けた事例が複数あります。
お知り合いに認知症,知的障害,精神障害などによって判断能力が十分ではない方がいて,その方の財産管理に不安がある場合には,一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。